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【記者の目⑩】カゴメの健康サービス事業「ベジチェック」

ドラッグストアによる「食と健康」への新提案

 

「ニッポンの野菜不足をゼロにする」。この心強いセリフは、カゴメ(本社愛知県)が掲げるキャッチコピーだ。これまで同社はトマトケチャップやトマトジュースなどを主力に、食卓に欠かせない製品を世に送り出し、ユーザーから高い評価を得てきた。一方で、平成30年の国民健康・栄養調査によると、日本人の1日の野菜摂取量の平均全世代は、281.4gとなっており、現状、成人の野菜摂取目標量の350gと大きく乖離している。そこで同社は2018年にコトビジネスを中核とする健康サービス事業をスタートし、野菜摂取の充足度を測定する機器「ベジチェック」のレンタル・リースや、管理栄養士による企業・自治体向けの健康セミナーを展開。特に「ベジチェック」は、「食と健康」といった切り口で消費者に向けて多角的にアプローチしているドラッグストアとの親和性が高く、店頭に設置することでより消費者の健康意識を上昇させるトリガーとして非常に有用だと思われる。(記事=佐藤健太)

 

「ニッポンの野菜不足をゼロにする」のトリガー

ドラッグストアとの親和性が高い「ベジチェック」

 

「野菜不足の改善」が「食と健康」のコネクトに直結

 

日本チェーンドラッグストア協会が「食と健康」というテーマを掲げて数年経過し、現在多くのドラッグストアにおいて、サプリメントや食品などで多角的な提案がなされるようになった。しかし、あくまでもそれは「不足しているものを補う」というあくまでもヘルスケアの考え方であり、「食と健康」の中心である普段の食生活に対するアプローチが弱いという課題がある。

平成30年の国民健康・栄養調査に目を向けると、成人の野菜摂取目標量の350gなのだが、日本人の1日の野菜摂取量の平均全世代は281.4gという現状となっている。

ドラッグストアは、「食と健康」を掲げる以上、成人の野菜摂取量をどのように高めていくかチャレンジすべきであり、店頭において「あなたは野菜不足です。1日当たり、これほど足りません」という情報を提案していくことが、より「食と健康」をつなげていくことに直結するだろう。だが、残念ながら今のところ、そのようなツールはドラッグストアに導入されていない…。

そうした課題を頭に置きながら、日々ヘルスケア関連の取材をしている最中、出会ったのがカゴメの健康サービス事業だ。

非常に興味深い取り組みだったため、ぜひ「月刊H&Bリテイル」および当社ニュースサイトの読者に紹介したい。

 

ドラッグストアの課題解決の“ど真ん中”のサービス

 

同社は2018年に健康サービス事業をスタートした。現在は野菜不足をものの数十秒で測定できる機器「ベジチェック」のレンタル・リースと、健康経営を実現したい企業に向けて管理栄養士による健康セミナーを展開している。その中でも特に「ベジチェック」は、先ほど挙げたドラッグストアの課題を解決する“ど真ん中”のサービスと位置付けたい。

「ベジチェック」

「ベジチェック」はタブレット端末に、LED搭載のセンサーをつなげた機器だ。皮膚のカロテノイド量を測定することで、野菜摂取の充足度を120段階(0.1~12.0)で表示し、さらに野菜摂取量の推定値をg(グラム)で具体的に測定できる。センサーに手のひらを当て、数十秒で測定が完了するという簡便さが特徴であり、利用者がその場で結果を見られる。

筆者も「ベジチェック」を使ってみたところ、1日当たりの野菜摂取量が150g以下と平均摂取量を大きく下回っており、それ以降は「何とかしないといけない」と意識するようになり、積極的に野菜を取り入れるようになった。

「もし、これがドラッグストア店頭で活用されていれば…」と思い描くと、野菜不足だった来店客は「改善しなければ」と考え、十分に野菜を摂取している来店客でも「これを維持したい」と、食品売り場に陳列されているサラダ類や青果類、そして調味料など周辺商材に対する購入意欲が高まるだろう。

 

想起購買の誘引が「野菜不足」解消する

 

「消費者はそんなに単純か?」と思われるかもしれないが、ここでドラッグストアにおける購買動向に目を向けてみよう。購買動向は「計画購買」と「非計画購買」に分類され、ドラッグストアではそのうち75%以上が非計画購買。さらに非計画購買に細分類される「想起購買」は25%以上だとされている。この数字はヘルスケア業界に深く関与する卸売業を取材した際に出てきたものであり、極めて信頼できるものだ。

このようにドラッグストアでは、非常に多くの来店客がその場で購買を決めており、実は「そんなに単純か?」と思うくらいが丁度よく、単純だが、それを実行するかしないかで客単価に大きく影響していく。「ベジチェック」においては、野菜が計画購買になかった来店客に対し、具体的な数字を示せるツールであるゆえ、店内で判明した自身の問題を、「これ(サラダ130g)とこれ(トマト1個・150g)を買えば」と店内で解決できるため、野菜の想起購買を誘引できる有力なツールであるといえる。

 

男性比率が高まる夜間のドラッグストア

 

記者として定点観測しているドラッグストアがいくつかある。

大手企業が運営する東京都内・住宅地立地型のドラッグストアは夜23時まで営業しており、20~23時の男性客の比率がグンと上がることは、店内を見渡すだけで一目瞭然である。こうした立地ではどこの店舗も似たような傾向がある。

しかし、男性客らはどこに足を向けるか。言うまでもなく、向かう先は酒類・加工食品・菓子・惣菜の売り場だ。ドラッグストアなのだが、カゴに放り込まれているのは健康に程遠い商品がほとんどだ…。

さらに、あるドラッグストア経営トップは「深夜営業によって男性客は増加しているのだが、なかなか客単価が上がらない」と、あと1品をどのように購入してもらうか考えあぐねる。

普段から食生活が乱れている男性客にあと1品…。そしてその1品が食生活改善に役立つ野菜ならば…。まさに「ベジチェック」は、この問題を解消するツールとして役立つ。

ドラッグストアが、どんなに「お客さまに健康になってほしい」と商品をラインアップしても、健康を意識させ、ツールを活用して、来店客と商品を結び付け、購買してもらわなければ商品は生きない。

野菜不足の来店客と野菜をコネクトさせる「ベジチェック」の活用は、ドラッグストア業界が課題として持つ「食と健康」、同時に来店客の健康意識を向上させ、その先にある潜在的市場の顕在化させていくことにも大いに影響していくだろう。

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