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第8回ゲスト:サラヤ代表取締役社長・更家悠介さん

新春コラボ企画 クローズアップ・在宅医療・介護⑧×シリーズサラヤ㉕

ゲスト:サラヤ代表取締役社長・更家悠介さん

「持ち込まない」ことが感染症対策の基本

施設も家庭内も「玄関消毒」を合言葉に

感染予防対策のプロであるサラヤは昨年より、自社の知見を様々な施設のリスクヘッジに役立てるべく情報発信を強化している。今回の「シリーズサラヤ」では、同じく弊紙連載企画の「クローズアップ・在宅医療・介護」と
コラボし、社長の更家悠介氏と、日本ヘルスケア協会(JAHI)理事で岐阜薬科大学特任教授の小原道子さんとの対談が実現した。新型コロナウイルスの感染拡大が止まらない中で我々に何ができるのか、またコロナを通じ考
えるべきことは何か、2 人の言葉からそれを読み取っていただきたい。

(取材・文=月刊H&Bリテイル編集長・八島 充)


家庭内感染につながる気の緩み

——コロナ禍も間もなく1 年が経ちます。事業者あるいは個人として、with コロナの現状をどう見ていますか?

更家悠介社長

更家社長 昨今は様々な情報が整理され、理解されてきたと感じますが、家庭内感染が広がった背景には、気のゆ
るみがあるようにも感じています。
 感染症対策の基本は「持ち込まない」ことであり、その有効な手段が手指消毒です。

 現在は、様々な施設の入口に検温機器と消毒剤が設置されているにも関わらず、手指消毒をせずに入る人が多いように見受けられます。会食での三密や声の発し方なども含め、一人一人が今一度、感染対策の徹底を顧みる必要があるでしょう。親から子供にうつる家庭内感染が増えているのも、その一例です。外でうつらないように気を付けていても、帰宅して玄関から洗面所に行くまでにドアノブやスイッチなどに菌を付けてしまうリスクが生じます。
そこでサラヤは昨年末から、「玄関消毒」を啓発するキャンペーンをスタートしています。

——在宅医療や介護の現場も難しい対応を迫られていると聞きます。

小原道子さん

小原さん 「持ち込まない」ことの大切さは理解してはいますが、例えば認知症や精神障害を患う方に、マスクの重要性を理解いただくには難しい部分もあり、そこでクラスターが発生すると、施設や働く従事者が悪者になってしまう風潮も問題です。コロナが健康弱者とそうでない方を分断しかねない状況を危惧しています。

 

更家社長 感染力が高いコロナへの恐れが、各々の心理に複雑な影響を与えているのは確かです。高齢者や障害を持たれる方は免疫力が低下している傾向にあり、一般の方以上に慎重なケアをしなければなりません。そこに従事する方々を守ることも大きな課題ですね。
近年は抗生物質が効かなくなるAMR(薬剤耐性)も問題になっており、介護の現場は一層の注意が必要です。
そのAMR 対策も基本はマスクの装着と手指消毒の徹底になります。家庭内も介護の現場も同様に、「持ち込まない」というシンプルなメッセージを、まずは見直すべきでしょう。
当社が提案する検温と手指消毒器を一体化した「プロテゲート」(写真)なども、うまく活用していただきたいですね。

検温デバイスと消毒液のディスペンサーが一体となった「プロテゲート」も、「持ち込まな
い」の徹底にむけてサラヤが提案している

現状報告より対策の情報発信を

 

小原さん コロナ禍で新しい商品や、必要な情報がとどくようにするための、ドラッグストアの責任は大きいと思います。

 一方、介護施設や店舗スタッフでも、例えば自営業の家族に「現場に行かないでほしい」と懇願されるケースなどもあり、スタッフの確保も課題の一つです。すべての生活者に正しい情報を伝えることの難しさを改めて感じます。

更家社長 正しい情報が伝わらないために偏見が起きることは残念です。

小原 コロナの「対策」ではなく「現状報告」に偏ったメディアの報道にも問題があります。家庭でどのように過ごせばいいのか、その指針となる情報をもっと発信して欲しいです。御社が提案する「玄関消毒」も、その一つになるべきですね。

更家社長 すでに大学病院などの大型施設では感染予防の委員会を立ち上げ、専任の看護師を配置するなどインフェクションコントロール(感染制御)を徹底しています。ただ、中小のクリニックや介護の現場は、そうした機能が弱いゆえに、クラスターにつながりやすい。この機会に、当社の知見を介護の現場にも伝えていきたいと思います。

 なお弊社は、昨年11 月に「感染予防・食品衛生インストラクター」を稼働させました。食品衛生サポート部のスタッフに感染予防のトレーニングを履修させた部隊で、現在は食品衛生の現場に加え、公衆衛生、薬局、医療・介護の施設などへ活動の範囲を広げています。

 生活者に向けた「対策」の情報発信では、地域に根差した薬局やドラッグストアの存在に期待しています。当社の知見を届けるために、是非とも力を貸していただきたいですね。

小原さん 具体的な対策を、子供でも分りやすいよう可視化する工夫が必要ではないでしょうか。

 例えば家屋をマップ化して、各々の部屋で各種の菌やウイルスのキャラクターが暴れているイメージを伝えるとか…

更家社長 自宅の感染管理をまとめて小冊子をつくるのも良いですね。さっそく社に戻って検討しましょう。

小原さん すばらしい! JAHI(日本ヘルスケア協会) の在宅感染症予防部会も、全面的に協力させて頂きます!


衛生ほか食と運動で健康サポート

——在宅感染症予防部会には、サラヤのコンシューマー事業本部・山田哲本部長も名を連ねています。

小原さん 山田さんには昨年5 月、私がパーソナリティを務めるラジオ番組(ビタミン・ラジオ/ラジオNIKKEI)に出演して頂きました。放送後はマスクや手指消毒などの対策、あるいは感染しないための身体づくりを推奨する御社に対して、多くの反響がありました。

 薬剤師法の第1 条には、「公衆衛生の向上及び増進に寄与」することが記載されています。公衆衛生はまさに、サラヤさんの理念とする衛生・環境・健康のすべてに関わる部分であり、その先見性に敬服しております。

更家社長 衛生を生業としてきた弊社ですが、近年は食事と運動をベースにした健康のサポートを強化しています。

 今やドラッグストアは健康の情報発信基地としてなくてはならない存在ですが、我々も治療の手前の未病や疾病予防の領域を、ドラッグストアとともに考え、提案していきたいと考えています。

小原さん 介護や食事・栄養摂取に関することまで相談に乗る「健康サポート薬局」の届出が始まり4 年が過ぎましたが、まだまだ充足しているとは言えません。

 今私は、地域生活者が健康で暮らせる街づくり、ならびにその街をどうやって薬局・ドラッグストアが支えていくか、という問題に関心を持っています。

更家社長 弊社は別事業で理学療法士が常駐する「メディカルフィットネス」を運営しています。近隣の整形外科とも連携し、保険期間が過ぎた方などに、栄養と運動の指導をおこなっています。今年2 月に出店予定の2 号店では、整形外科のほか、栄養面を考えた食事を提供する場も設けます。

 また、一昨年から歯科医も運営し、予防を目的とした出張歯科検診も実施しています。検診で集積したデータは、予防に役立つパーソナルデータとして個人に還元しています。

 こうした活動は、小原さんの考える街づくりと重なると思います。治療と違い保険点数は得られませんが、未病や予防に関する有意義な情報が提供できれば、街全体が健康になり活力が出てくると思います。提供する情報が納得できるものであれば、最終的に商品の購入にもつながるでしょう。


健康で暮らせる街づくりに貢献

——ウエルシア薬局は、地域包括支援センター(施設名=ウエルシアハウス)を自治体から受託して運営していますね。

小原さん 埼玉県白岡市にある店舗の駐車場に併設した施設で、今年で4 年目を迎えます。中には企業色を嫌う自治体もありますが、同市の「オレンジカフェ」(認知症の方やその家族、地域の方や専門家などの交流できる場)を運営してきた実績が認められ委託されました。

 今後はここを「介護保険を使わず健康に暮らせる街づくり」の、1つのモデルにしたいと考えています。

更家社長 地域包括支援センターは全国にどれほど存在するのですか?

小原さん 約7,000 か所あり、うち直営が7 割、委託が3 割となります。委託先は医療法人や社会福祉法人が大半で、民間の事例は1.8%しかありません。ドラッグストアでは弊社が初ではないでしょうか。

 医療法人・社会福祉法人が受託する場合、「病気や介護を受けるようになったら行く場所」というイメージが付きやすいのですが、実はウエルシアハウスを始めとする地域包括支援センターは、認知症や虐待、或いはごみ屋敷問題まで地域の悩みに広く介入しています。医療・介護・福祉の各従事者もそれを目標に1 つ屋根の下で切磋琢磨しており、最終的には「しあわせの街づくりをお手伝い」したいと考えています。

更家社長 すばらしい取り組みですね。感染症予防のほか、食事や口腔ケアなど、弊社が協力できる部分もまだまだありそうです。互いの知見を持ち寄り、「健康に暮らせる街づくり」に貢献していきましょう。

小原さん 更家社長にお会いして力が沸いてきました。今後もよろしくお願いいたします。

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