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第11回ゲスト:イチジク製薬 三宅貴子さん

連載クローズアップ在宅医療・介護⑪ ゲスト:イチジク製薬 三宅貴子さん

OTC浣腸薬は在宅医療に適した製品

 

――「排泄ケア」。筆者は数多くの在宅医療の現場を取材しているが、介護従事者や家族の口から出るこの言葉を数え切れないほど耳にしてきた。つまり、在宅医療の現場において排泄ケアは慢性的な問題となっているということだ。そこで注目されているのが、浣腸薬の活用である。今回の小原道子さん(日本ヘルスケア協会・理事、岐阜薬科大学・特任教授)の対談企画「クローズアップ在宅医療・介護」のゲストに、イチジク製薬で浣腸薬の啓発に取り組む三宅貴子さんをお招きした。創業から96年を迎えたイチジク製薬は、浣腸薬一筋を貫き通してきた。長きにわたる広報活動やマーケティングに注力することで「イチジク浣腸」を、浣腸薬の代名詞となるまで成長させた歴史を持つ。この対談を通じて、在宅医療における「排泄ケア」と浣腸薬の新和性の高さ、そして可能性を感じ取っていただきたい。(聞き手=副編集長・佐藤健太)

小原道子さん(左)と三宅貴子さん

 

浣腸薬の活用は在宅生活のQOLを高める

 

――小原さんは、薬剤師が在宅医療に参画する黎明期(1990年代半ば)から、積極的に在宅医療と向き合ってきましたね。振り返っていかがでしょうか。

 

小原さん これまで薬剤師として20年以上在宅医療の現場と関わり合ってきましたが、日に日に在宅医療へのニーズが高まっているように感じます。思い返すと、1995年が私の“在宅医療・元年”でした。当時は宮城県内の薬局に勤務しながら、山間部に住む高齢者のもとへ薬を届けに行くという日々でした。周りを見渡しても、在宅医療と真剣に向き合っている薬剤師はほぼ皆無であり、「調剤室での仕事=薬剤師の仕事」という認識が強くありました。

在宅医療を始めたばかりのころは、薬剤師が自宅に来ること自体に驚かれていましたが、それが「何かやってくれるかも?」と徐々に期待に変わり、訪問すると「会えることを楽しみに、日々を過ごしてきました!」と非常に喜んでくださる患者さんが増えていきました。今でもその方々の笑顔を忘れることはありません。

現在、「社会とのつながりがフレイル予防に直結し、それが健康寿命延伸になる」ということが当たり前のように語られていますが、振り返ると、在宅医療の黎明期、私が患者さんにしてきた仕事は、まさにこのことだったと思います。

 

――私も在宅医療の現場や、それに関わる方々の取材をさせていただく中で、排泄ケアに悩んでいるケースが多くありますが、小原さんの経験上ではいかがでしょうか。

 

小原さん 確かに多くの患者さん・ご家族が悩んでおり、寝たきりや認知症などの排泄ケアを家族が行うこともあります。こうした患者さんは、ほとんど運動量がなく、筋力が低下していますので、自力で便を外に出すことが難しい状況にあります。

排便とは生活するうえで当たり前のことなのですが、自分で排便が困難になってくる在宅医療の患者さんにとっては、「周りに迷惑をかけてしまう」という思いを抱いてしまいます。薬の副作用で便秘になっているケースもありますが、便秘は主訴疾患ではないこと、便秘の不快感には個人差もあり、自分が本当に便秘なのかどうかも含め相談に躊躇するケースなど、「ドクターに相談できていない」という声が在宅医療の患者さんからあがっています。

便秘は患者さん本人にとっては非常に辛く、苦しい問題であるためQOLを著しく低下させてしまう疾患であり、悩んでいる方々も多くいますので、これを短時間で解決できる浣腸薬は在宅医療に適した製品であると考えています。

 

人間らしい生活に大きな影響を与える排便問題

 

――ありがとうございます。イチジク製薬は96年にわたってOTC浣腸薬を供給し続けてきました。在宅医療における「排泄ケア」が注目されていますが、OTC浣腸薬の可能性をお聞かせください。

三宅さん 浣腸の最大のメリットは、その即効性です。血液中に移行することなく、直腸を直接刺激し、僅か数分で排便を促します。OTCであれば、処方箋なしで、便秘で苦しんでいる方に、薬剤師が勧めることができます。また、2005年の医療法の拡大解釈によって、イチジク浣腸は、ヘルパーさんでも使用できるようになりました。その結果、排便時間を患者さん本人あるいはご家族でコントロールすることができ、便の色や状態を容易にみることで、健康状態を確認することもできるようになりました。

当社が製造している「イチジク浣腸」は、創業者であり医師でもある田村廿三郎(たむらはたさぶろう)によって、1925年に誕生させた製品です。自宅で簡単にできる浣腸があれば、楽に排便させてあげられるのにという、思いを込めて、数年の歳月をかけて開発されました。

小原さんがお話ししたように、在宅医療における排便問題は非常に根深く、患者さんだけではなく、介護をする家族や介護従事者も排便問題に悩んでおられます。そこで役立つのが当社の「イチジク浣腸」です。「患者とその周りにいる方々を楽にしてあげたい」という当社・創業者の思いは、在宅医療にも通じるところがあると思っています。

 

小原さん 96年にもわたって浣腸薬を提供し続けるというブレない姿勢は目を見張ります。

また当時から、医療支援の先を見据えた製品を啓発し続け、各家庭を支え続けてきたという事が、「イチジク浣腸」の素晴らしさであり、まさにおっしゃる通り在宅医療視点に立った製品だと思います。

 

浣腸薬を活用した排泄ケアの重要さ

――高齢者は便秘になりやすいと言われていますが、その原因はどこにあるのでしょうか。

 

三宅さん 「高齢者の便は硬く、出にくい」と言われる原因は、腸の老化、腹圧の低下、食事量、水分摂取量、口腔内環境、服薬、疾患、その他さまざまです。健康な若年層にとって、「食事→排便」という生活リズムは当たり前ですが、高齢者にとって大変なことなのです。朝きちんと排便があると、1日が爽快だといわれる方もいらっしゃいます。当たり前のことを当たり前にできるように、QOLを落とさないようにしてあげることが、私たちの務めと考えています。また、まだまだ、排せつに関しては、ご自身、あるいはご家族の方でも相談しにくいことですが、気軽に相談できる環境になることも大切なことではないでしょうか。

益々高齢化が進み、排便問題に悩む方が増えることが予想されます。在宅医療できるかできないかは「排泄ケア」にかかっていると認識する医療従事者もいるほどですが、私どもが製造する浣腸薬が、在宅介護の負担を低くする一助になればと願うばかりです。

 

小原さん 私達訪問薬剤師がご自宅を訪ねると、必ずご家族からご相談頂くことの一つが排便のことです。初めて訪問した患者様のご自宅では、直ぐにお困りの御相談を頂けるとは限りません。そのような時に「患者様の排便状態は如何ですか」とお声がけをすることで、「実は・・・」と御相談を頂くケースは非常に多い印象を受けています。逆に言えば、排便コントロールのサポート提案をさせていただくと、私たちは患者家族のご信頼に繋がると感じています。

イチジク製薬さんでは、お客様相談室に排便に関する数々のご相談を頂いていると思いますが、三宅さんがご対応した方で、心に残ったケースがあれば教えてください。

三宅さん 日々、いろいろな方からご相談を受けます。現在、コロナ禍で行動範囲が狭くなり、運動量の減少とストレスで、便秘がちになる人が増えてきました。そのほかに、「ご高齢のご主人が認知症と精神疾患を患っている奥様の面倒を看、慣れない家事をしながらの介護している」、「1人暮らしで、食欲がないために、食事の量も質も低下し、便秘になってしまっている」、「慢性疾患で通院中であるが、交通手段がないために、慢性疾患の薬も便秘の薬も1日おきに服用して通院回数を減らし、その結果主疾患も便秘も悪化させている」、「主疾患を治せば便秘も改善するはずなのに、地元の病院では手術ができず、遠く離れた大きな病院に行く体力もすべもない」、など、本当に現在の医療問題の縮図を表すようで、胸を締め付けられる思いをすることもあります。ただ、このような中で、相談の後、多くの方からありがとうと言って頂き、また、時には、「イチジク浣腸」を使用し排便があると、「出ました!本当に助かりました」とお客様相談室に、再度電話をいただくことがあります。お客様からの感謝の言葉を頂戴したり、わざわざ時間を割いて再度御礼の連絡を受けることは、メーカーとしてとても嬉しいことですし、社員のやりがいにもなります。

 

小原さん とても素敵なお話ですね。大変素晴らしいことだと思います。これは創業から長期にわたって浣腸薬一筋を貫き通してきたイチジク製薬さんだからこそのストーリーだと思います。

排便は「相談したくても、相談しにくい」と躊躇する方は沢山いると思います。店頭にお越しいただいても、現在の排便状況でどの製品が適しているのか、棚の前で悩まれている方もいらっしゃいます。アクティブシニア層に向けては、より手軽に便秘を解消できる手段として、在宅医療においては患者さんだけではなく、ご家族・介護従事者のQOLを高める手段として、「OTC浣腸薬がある」ということを、私たち薬剤師はもっと啓発していく必要がありますね。

 

医療用とOTC、浣腸薬の成分量は同等

OTCならではの強み“使い勝手の良さ”

 

――OTC浣腸薬は医療用医薬品との違いは1回あたりの使用量のみが違い、成分量は同等と聞いています。

 

三宅さん 通常、医療用医薬品とOTC医薬品は成分量が異なり、OTC医薬品よりも医療用医薬品の方が成分配合量は多くなっています。浣腸薬にもOTC医薬品と医療用医薬品が存在しますが、容量は異なりますが、医療用もOTCもグリセリン50%という成分含有率は同じです。

さらに医療用浣腸薬は、術前目的で使用することが多いため、大容量でノズルの長く、医師や看護師が患者に対して使用することを目的としています。患者さんに処方されてもご自身では使いにくく、使用を避けたり、きちんと効果が出ないケースがあります。

当社の「イチジク浣腸」は、ご自身で使用することを前提に設計されているため、ノズルが短く、挿入しやすく、ご自身に使用するだけではなく、在宅医療でご家族に使用する場合も、医療用浣腸薬と比較してハードルは低いと思います。容量も子供から大人まで使いやすいように10g、20g、30g、40gを展開しています。浣腸薬は、成分が血液中に移行することなく排便を促しますので、体内の薬物相互作用をあまり気にせずに薬剤師さんが推奨しやすい薬です。

 

小原さん 医療用医薬品と成分量が同等という強みに加え、使い勝手が消費者視点になっているところが「イチジク浣腸」のポイントですね。浣腸薬は即効性がありますので、例えば、介護が必要な方にお使いいただく場合、直ぐに家族等が排泄ケアの出来る日中に使用するなど排便のタイミングをコントロールできることも強みだと思います。

また、浣腸以外にも便秘に関する製品は沢山あります。その時の健康状態、便秘の状態に合わせた選別のためにも、薬剤師にご相談いただけるような環境でありたいと願っています。例えば介護が必要な方に経口便秘薬を使用する場合、「服用後いつ排便するか判らない」「何回もおむつの交換が必要になる」などのご相談もあります。ご本人も、思いがけない時に排便があると、心の負担は大きいと思います。浣腸薬は医療現場でも術前や検査前など、多くのシーンで使用されている安全な医薬品です。患者さんの健康管理のベースとして、また不快感を早期に改善していくために、浣腸薬を活用した排便ケアは在宅医療に不可欠な製品だと思います。

 

――本日はありがとうございました。

 

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