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東大、健常なヒト体内に存在するヴァイローム(ウイルス叢)の様相を網羅的に解明

東大、健常なヒト体内に存在するヴァイローム(ウイルス叢)の様相を網羅的に解明

1.発表者:

佐藤 佳(東京大学医科学研究所 感染症国際研究センター システムウイルス学分野准教授)

2.発表のポイント:

◆健常人547人の51か所(種類)の組織における遺伝子発現データの大規模バイオインフォマティクス解析により、健常人の体内における”隠れた”ウイルス感染の様相を網羅的に明らかにした。

◆さまざまなウイルスが健常なヒトの体内において不顕性感染しており、ヒトの免疫状態や健康状態に関与している可能性が示唆された。

◆本研究成果は、ヒトとさまざまなウイルスの共生関係の一端を明らかにしたものであり、本研究の手法は、汎用性が高く、新型コロナウイルス感染症を含めたさまざまなウイルス研究に応用・展開が可能である。

3.発表概要:

東京大学医科学研究所 感染症国際研究センター システムウイルス学分野の佐藤准教授らは、大規模な遺伝子発現データの解析により健常なヒト体内に存在するヴァイローム(ウイルス叢、(注1))の様相を網羅的に解明しました。

ヴァイローム(ウイルス叢)とは、ヒト体内に存在するウイルスの総体のことであり、病気を発症していない健常人においても、ヘルペスウイルスをはじめとしたさまざまなウイルスが、さまざまな組織に、病状を示すことなく感染していると考えられています。これまでのウイルス学の研究においては、病気を引き起こすウイルスについて、病気を発症した感染患者に対する解析が中心であったため、健常人において、どのようなウイルスが、体内のどこに、どの程度(不顕性)感染しているのかについては未解明でした。

本研究では、米国のゲノムプロジェクトであるGenotype-Tissue Expression(GTEx)プロジェクト(注2)の提供する、547人の51種類の組織から取得された、計8,991サンプルのRNAシーケンスデータ(注3)を対象に大規模なメタゲノム解析(注4)を行いました。米国国立生物工学情報センター(National Center for Biotechnology Information)に登録された5,561種類の脊椎動物および無脊椎動物に感染するウイルスゲノム情報を用いて、対象サンプル中に含まれるさまざまなウイルスに由来すると考えられる配列を網羅的に検出し、定量化しました。その結果、健常人のさまざまな組織において、さまざまなウイルスが感染していることを見出しました。さらに、ウイルスの有無とヒトの遺伝子発現情報とを比較することで、いくつかのウイルスのウイルス陽性の検体・組織において、ウイルス感染に対する免疫応答因子であるインターフェロンを含む自然免疫応答や、免疫細胞の一種であるB細胞の活性化が誘導されていることを見出しました。さらに、本研究において、ヒトヘルペスウイルス7型(HHV-7)が胃に常在していること、および、胃におけるHHV-7の有無がヒトの遺伝子発現状態と強く関連していること、加えて、HHV-7が胃の何らかの生理的機能に影響を与えている可能性が明らかになりました。本研究結果は、ヒト体内に存在するウイルスが、ヒトの免疫状態や生理的機能に関与していることを強く示唆するものです。

本研究成果は、2020年6月4日英国科学雑誌「BMC Biology」のオンライン版に公開されます。

 

 

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