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【連載】10兆円産業化を目指すドラッグストアの今昔物語①

5%台の成長を続ければ7年後の目標は夢ではない

「モノをつくる企業、モノを卸す企業、モノを販売する企業にとって利益を上げることもさることながら、モノには心が伴わなければならない。ビジネスに必要なことはモノと心は両輪であること」と、あるドラッグストア創業者から伝授していただいた。病いに悩む人、体の調子がおかしい、もっと元気になりたい―そうした人たちに、心を込め接客し、“健康生活”を取り戻した多くの生活者の笑顔を見てきた創業者たちによって、今日のドラッグストアの基礎が築かれたのだ。そこで1969年から50年間にわたる記者生活を通じ、ドラッグストアの創業期から現場を見てきた一人として、今日に至るさまざまな現場のストーリーを紹介し、激しい競合下を生き抜くための参考にしていただきたい。

(記事=流通ジャーナリスト・山本武道)

プロローグ

10兆円産業化を歩むドラッグストア。しかし、その道は決して楽ではない。肝心なことは、10兆円産業化というテーマに向かい、個々のドラッグストアは今何をしなければならないのか。7年後のタイムテーブルに向かって、具体的な戦術を実践していかなければならないことはいうまでもない。

日本チェーンドラッグストア協会が、19年前にドラッグストアの経営実態調査を開始してから、当初の3年間は二桁(2001年:13.3%→2002年:15.8%→2003年:11.1%)成長を続けてきた。

しかし、成長率に徐々にブレーキがかかり、とくに2008年(5.3%)から2013年までは、坂を転げるように2009年:4%→2010年:3.5%→2011年:3.1%→2012年:2.4%→2013年:0.1%までに落ち込んだ。

2014年~2015年になって、やっとダウンに歯止めがかかったものの、僅か伸びが2年連続(2014年:1%→2015年:1.1%)で続き、2016年度にようやく5.9%と回復し、2017年度も5.5%の成長率となった。

このような業績で歩んできたドラッグストアだが、果たして10兆円産業化の実現は、可能なのか。そこで2025年までの市場予測をしてみた。この数値は、最近2年間の成長実績5%をキーワードとして推計したものだ。

■2018年:2017年度実績6兆8504億円×1.05・・・7兆1919億円(推定額)

■2019年:7兆1919億円(推定額)×1.05・・・7兆5526億円(推定)

■2020年:7兆5526億円×1.05・・・7兆9302億円

■2021年:8兆3267億円

■2022年:8兆7340億円

■2023年:9兆1810億円

■2024年:9兆6392億円

■2025年:10兆1211億円

あくまでも推定数値だが、2025年には10兆円産業の形成が見込まれる。

 

創業者たちを待ち受けていたアクシデント

1960年代、アメリカのとある飛行場に、日本の大型店経営者がいた。アメリカの流通業界で、生活者に支持され上昇気流に乗っていたドラッグストア業界を視察するためだ。

参加したのは、薬を中心とした病気産業優先だった経営から脱皮し、健康と美を中心とした健康産業に関わる経営を目指す若き経営者たちだった。

医薬分業推進の機運が高まっていたが、実際には処方箋の発行はままならぬ時代。経営者たちは大繁盛していたアメリカ流通業界の最先端をいくドラッグストアの隆盛ぶりを、自分の目で見て聞いて商品に触り確かめることに主眼を置いていた。

これからの医薬品小売業経営のヒントを求め、わくわくして飛行機から出てくる荷物を待っていた彼らにアクシデントが起こった。

出てくるのを待っていた荷物は30分、1時間経過しても、いっこうに出てこなかった。手違いで、彼らの荷物は次の予定地まで飛んでしまっていたのだ。視察中に必要な生活用品はなく、着の身着のままになった彼らの上着には、幸いパスポートと財布があったので、薄暗くなった飛行場からタクシーに分乗して予約していたホテルへ向かった。

ホテルへの道は真っ暗になり、さすがに彼らは心細くなっていた矢先に、遠くに一筋の明かりが見えてきた。光の主は、24時間営業のコンビニだった。とりあえずタオル、石鹸、歯磨きと歯ブラシ、ティッシュ、肌着類・・・当座の生活必需品、パンと飲み物を購入していた彼らから一斉に上がった声が、「そうだ、われわれが求めている店はこれだよ!」。

「薬を中心とした品揃えも大切だが、日常生活に欠かせない商品の品揃えも見逃せない。食品もあって飲料も菓子もあって、歯ブラシ、歯磨きもある。この店に来れば、何でも揃っていて、しかも24時間営業、年中無休の店」を日本の生活者たちが待ち望んでいたことに、彼らは気付いたのだった。

 

快適生活のための店が集合したSCを無我夢中で見学

アメリカの生活者は、フリーウエイを利用してショッピングセンターで1週間分の食料と、快適生活に役立つ商品を買い求め、フレンドリーなスタッフから“笑顔”と“助言”ももらう。こんな店舗が集まっているショッピングセンターが、随所に作られているアメリカの流通業の迫力に圧倒さながらも、彼らは時間の経つのも忘れて無我夢中で店内を歩き回った。

ショッピングセンターは、フードコート、ブランド商品専門店、ドラッグストア、自然食品専門店、本やフィットネス・ダイエットセンター、シアター、DIY(Do It Yourself)商品、入浴専門店、雑貨、電化製品等々が集合した、とてつもない大きな地域住民の快適生活のプラットホームだったのだ。(続く)

流通ジャーナリスト・山本武道

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