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ヘルスビジネスマガジン社会長・木村忠明の緊急連載レポート「新型コロナ感染予防における食成分の役割」④

第4回(最終回)「アサイーのサイトカインストーム抑制効果を臨床研究へ」

炎症反応に関与する「イソフラマソーム」を調整

新型コロナウイルスはヒトに感染すると、細胞内にあるイソフラマソーム(NLRP3)という物質を刺激する。これは炎症反応に関わるもので、刺激すると炎症性のサイトカインが放出される。これが制御不能な炎症の引き金を引くことになり、いわゆる「サイトカインストーム」を引き起こす。これが重症化を引き起こし、死亡に結びつくと言わるメカニズムだ。

ところが、ビタミンC、ビタミンD、メラトニン、ポリフェノールなどいくつかの成分がイソフラマソームの働きを調整し、炎症サイトカインを減らす可能性が様々な研究で明らかになっている。ただし、大半が試験管もしくは動物を用いた研究だ。

しかし、こうした研究の通り、ヒトの身体で新型コロナウイルスによって発生するサイトカインストームを抑制できれば、重症化を予防することが出来るかもしれない。

 

480人対象に2重盲検で試験(小見出し)                                  

新型コロナウイルスに天然物を使った初めての臨床研究が、このほどカナダでスタートした。トロント大学医学部のマイケル・ファーコウ教授らは、南米原産の果実・アサイーを用いた栄養補助食品を使い、新型コロナウイルスの病原性の炎症反応に関連しているNLRP3インフラマソームの阻害剤としての治療効果の臨床研究に入ったことを明らかにした。

この試験は、新型コロナウイルスが陽性で外来治療している成人患者を対象に、アサイーの抽出物を投与する前向き2重盲検プラセボ対象ランダム試験になる。

被験者はアサイー摂取群とプラセボ群に分けられ、摂取群は1カプセル520㎎を3カプセル、8時間ごと30日間投与される。被験者は480人の第2相試験で、開始は5月、第1回目の結果発表(中間発表)は11月、来年5月に研究終了となる予定だ。

アサイーの果実はブルーベリーなどと似ているため「アサイーベリー」と呼ばれることもあるが、実はヤシ科の植物で、ブルーベリーの約18倍ものポリフェノールを含むことが知られる。過去の研究では、アサイーがNLRP3インフラマソームによる炎症を抑制し、躁鬱病(双極性障害)を改善する効果が報告されているため、これを新型コロナウイルスによるサイトカインストームの抑制にも応用できる可能性があるとして、この研究が開始されることとなったようだ。

博士はこの研究について「安全で広く使用されている天然抽出物を提供するという利点があります。現在利用できるワクチンがないので、効果的な治療法を探すことはタイムリーなアプローチです。そのような治療薬の潜在的な影響は、それが効果的である場合、誰でも容易に使用出来て、最も重要なことに、多くの国で手頃な価格であることを考えると、非常に大きなものになる可能性があります」としており、先進国だけでなく、発展途上国での使用を目的にしていることを伺うことが出来る。

 

新型コロナの第2波が来る

最近、歴史学者の速水融氏が2003年に出した「日本を襲ったスペインインフルエンザ」という本を読んだ。第1次世界大戦の頃に日本を襲った“スペイン風邪”の大流行を克明に記した歴史書だ。世界で4000万人、日本でも推定45万人の死者を出した。このインフルエンザは、日本には1918年(大正7年)の10月~1919年(大正8年)5月、1919年(大正8年)12月~1920年(大正9年)5月の2回にわたって大きな流行が発生している。流行の第1波のピークは11~12月だったが、第2波は1~2月となっている。どちらにしても冬場だった。

これを裏付けるように、4月20日に米国国土安全保障省科学技術局長代行のウイリアム・ ブライアン氏が記者会見して、新型コロナウイルスは高温多湿に弱いとの研究結果を明らかにした。これによると、気温21~24℃、湿度20%でウイルスが半減するには18時間かかった。気温21~24℃、湿度80%では6時間、気温35℃、湿度80%では1時間になっている。ところが、気温が21~24℃、湿度80%で夏の日差しに相当する紫外線を当てるとわずか2分でウイルスは半減したという。

これには異論もある。しかしとにかく外出自粛などの抑制策が緩めば再び感染は拡大するだろう。さらに冬に巨大な第2波が来る可能性の指摘もあることは確かだ。どちらにしても、感染予防の対策は今後1年以上必要になることは間違いなさそうであり、そうした中でサプリメントを活用した予防対策にも期待も高まりそうだ。

(了)

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