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【第2回】食成分の感染阻害機能を検証
エラ大学・カーン博士らが食品由来成分でドッキング調査を実施
新型コロナウイルスの遺伝子解析が行われ、新薬の開発と同時に既存の医薬品の利用が話題に上っているが、一方で食品に含まれる成分での研究も行われている。
インド・エラ大学医学部のムハマド・カーン博士らの研究グループが行ったドッキング探査による研究では、ウイルスの持つたんぱく質のメインプロテアーゼCVID-19(6lu7)などを標的に、以前の研究に基づいて有効性の期待される食物由来成分を18種に絞り、その効果を調べた。その結果、潜在的に効く可能性がある食成分として、EGCG(エピガロカテキンガレート)、クルクミン、β‐グルカンの順で強力な機能を持つことが明らかになった。
EGCG:最も強力な感染阻害機能を示唆
EGCG(エピガロカテキンガレート)は、緑茶に含まれるポリフェノールの一種で強力な抗酸化物質として知られている。これまでの研究では、生体内の酸化ストレスや炎症を抑制し、心臓や脳の健康維持・改善、さらには体脂肪の減少も効果があることが分かっている。
しかし、今回の研究ではEGCGが新型コロナウイルスの働きを阻害する可能性が示唆された。これによると、6lu7、6lvn、6vw1、6vsb、6vww、6lxt、6yteなどの新型コロナウイルス感染に関与するすべてのたんぱく質に対し、今回調査を行った18成分の中でEGCGが最も高い効果を示した。つまり、かなり有望だということだ。
研究によると、1日あたり800 mgのEGCGを摂取することが必要になるという。これを煎茶で摂るには1日約5杯分(1リットル)必要となるが、EGCGを配合した市販のサプリメント製品を用いれば、効率的に摂取することができる。
クルクミン:ウコン由来成分がEGCGに次ぐ効果を示唆
ウコンに含まれる機能性成分のクルクミンも効果が期待されている。先のドッキング調査では、6lus、6lvn、6vw1、6vww、6yteに対して2番目に、6vsbには4番目に、さらに6vsbには5番目に効果があることが分かった。全体ではEGCGに次ぐ2番目にランクされている。クルクミンの摂取目安量はEGCGよりも少ない1日500㎎。サプリメントであれば1カプセルの配合量は30mg~だが、米国の製品では1カプセル630mgというものもあるようだ。なお、国内で広く市販されているウコン飲料には、1本当たり30mg程度のクルクミンが含まれている。
β‐グルカン:キノコなどのサプリメントにも
β‐グルカンは穀物、細菌、真菌などの細胞壁に自然に見られるβ‐Dグルコースの多糖類である。それらは、インフルエンザなどの感染症や消化器疾患、アレルギー、慢性疲労症候群などに効果があるとされてきた。
カーン博士の研究では、6lu7に対して3番目、6vwwには4番目、6y2eには5番目に効果があると位置づけられ、全体では3番目に効果が期待できることが分かった。
このβ‐グルカンはアガリクス、冬虫夏草、霊芝、マイタケ、シイタケなどのサプリメントに使われているキノコ類の有効成分としても知られている。
第3回は8月19日(水)配信予定。
※本連載は小紙「ヘルスライフビジネス」に掲載された内容です。