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【スペシャル対談】ブレインスリープ・道端孝助社長×日本ヘルスケア協会・今西信幸会長

日本の睡眠リテラシーを高める企業

睡眠市場の飛躍にエビデンスが重要

 

日本ヘルスケア協会・今西信幸会長の対談企画だが、今回は日本の睡眠リテラシーを高めるべく情報発信やECサイトを運営するブレインスリープの道端孝助社長に登場していただいた。昨今、ヘルスケア業界では睡眠関連の機能性表示食品や関連製品が市場を賑わし、脚光を浴びているが、正しい知識が消費者まで落とし込めているとは言い切れない。今回の対談では、睡眠市場はヘルスケアのメインカテゴリーになり得るポテンシャルを持っているということだ。読者にも対談を通じて新たな市場形成の兆しを感じてもらいたい。

 

今西会長 ブレインスリープは睡眠に特化したECサイトなどを運営しており、貴社の存在を知ってから、とても面白い市場に着眼したと思っているところです。なぜ睡眠カテゴリーに注目したのでしょうか。

 

 

道端社長 当社は、私と西野精治先生のツートップ体制で運営している企業です。西野先生は、世界的に睡眠のパイオニアであるスタンフォード大学で33年睡眠の研究をしており、睡眠におけるヘルスケアリテラシーを高めていこうと取り組んできた人物でもあります。

西野先生と出会ったのは3年前になります。当時、私は当社の関連会社・アンファーで予防医学に基づいたサービスや商品の開発を担当していました。長らく予防医学に携わる中で睡眠は大変興味ある領域だったこともあり、盛り上がり、一緒に日本の睡眠課題に取り組むべく、昨年5月にブレインスリープを設立しました。

「睡眠といえば」の問いに対して具体的な商品が想起されません。今後、睡眠に取り組む企業も増え、睡眠市場はこれからより一層盛り上がってくると感じております。先進諸国と比較し、日本は睡眠に対するリテラシーが低く、特に睡眠に対する知識に関しては乏しいように思います。しっかりと医師と連携し、より良い睡眠を日本中に広げていこうという取り組みをやるべきだという思いで、進めております。

今西会長 なるほど。確かに日本は睡眠における後進国だと言ってもいいでしょう。かつてはストレスが少なく、経済的にも裕福な国でしたから「睡眠は当たり前」と考えられていましたし、それが現在にも続いているのが現状だと思います。ですが効率化・成果主義・ストレスというように、人間に対するマイナスの負荷が増えており、睡眠が当たり前と考えられていた時代と全く環境が違いますね。ですから、より睡眠の重要さを啓発していくべきタイミングに来たと感じています。

道端社長 ブレインスリープには、「寝具や睡眠薬を売る」に留まるのではなく「正しい睡眠について発信していきたい」という思いがあります。設立以降、想定以上の数多くの企業さまからお声掛けいただいています。睡眠に対するニーズは多くあるのですが、それに対するソリューションはとても少ない。市場には睡眠薬や睡眠を訴求する機能性表示食品などがありますが、お客さまはもっともっと幅広いカテゴリーの睡眠に対する商品を求めていると感じます。

我々は多くの睡眠に興味ある、悩んでいるお客さまとコミュニケーションをとるように心がけています。当社が運営する睡眠に特化した情報サイト「SleepediA」に訪問する方は毎月100,000人ほど増えています。特に“ウィズコロナ”と言われる中で、睡眠不足や寝付きが悪いなどの方が増加していることから、当社はこうした方々の助けになりたいと睡眠に関わる正しい情報を発信していきたいと日々医師の方々に協力いただきながら、動いています。

 

今西会長 私は睡眠カテゴリーで重要だと思うことは、「寝る」という行為だけではなく、日々の生活から睡眠を科学し、“睡眠トータル”でサポートしていくということです。要するに、医薬品や食品、寝具というカテゴリーごとに提案するのではなく、生活をトータルコーディネートすることで、より良い睡眠を得ていただくという流れです。

先程も話しましたが、日本には「睡眠を科学する」という考え方が今までなかったんですね。そういう意味ではブレインスリープさんが、“睡眠の科学”と言う切り口で、この部分を掘り起こし、ヘルスケア推進に取り組んでいくことは、大変意義深いことだと思います。

そこで重要になるのはエビデンスだと思います。「夜になったから寝る」ではなく、「より良い人生を送るために睡眠をとる」という考え方を消費者に定着させるには啓発活動も避けられませんが、「だから睡眠は健康にいい」というエビデンスを持ちながら取り組んでいくと非常に効果的ではないでしょうか。

健康でいるためには心と体と頭に良いことをしなければいけません。心に良いもの、体に良いもの、体に良いものはそれぞれありますが、睡眠のように「心に、体に、頭に良いもの」というものは少ないように思います。だからこそ、睡眠をトータルで考え、エビデンスを持ちながら生活者のヘルスケアリテラシーを高めていくと言うことは、今後の日本の医療においても有用な働きをするように感じます。ぜひブレインスリープさんには、そういった市場のリーディングカンパニーになっていただきたいと思っています。

 

道端社長 ありがとうございます。そうした意味では当社に西野先生がいることは力強いと思っています。 睡眠医学は他の医学と比べて、歴史が浅いこともあり、“睡眠の科学”することは「何が正しいのか?何が間違っているのか?」を判断するのは難しい状況にあります。しかし、そこを西野先生が正しくジャッジしてくれるため、誤解なく消費者に発信できてます。例えば、香りと睡眠の関係は良いものとされていますが、実はこれのエビデンスがありません。これをしっかりわきまえながら情報発信していくという温度感を大切にしています。

睡眠と他の領域と少し違うのは、とても心に影響を受けるということです。そう考えると上質な眠りを取るための万人に共通するものはありません。ですが、自分自身が工夫して知った情報があれば貪欲に生活に取り入れていき、トライアルアンドエラーしながら追求していくことができます。その先には自分自身にとって素晴らしい睡眠は何かを知ることができます。これが社会で当たり前になったとき、睡眠市場のさらなる飛躍が実現するでしょう。

寝る前の運動やお風呂の入り方など、とても簡単ながらも睡眠に対して大事なポイントは多々あります。当社もそうした情報を積極的に発信し、日本全体が「睡眠は大事にしたほうがいいよね」ということを意識化していきたいと考えています。単独ではなくさまざまな企業とコラボレーションしながら、睡眠市場の裾野を広げていければと考えています。

今西会長 そうですね。先程も話しましたが、ヘルスケアのポイントとして睡眠の大切さを知ってもらうことが肝要になります。頭にも、体にも、心にも、全てに良い睡眠について、論拠を列挙して、科学的にエビデンスを取り、前に進んでいけば、睡眠に対する価値が必ず変わってくると思います。ですからブレインスリープさんにはそういうところまで踏み込んでいただきたく思っています。

また、日本は世界最高の高齢者国家です。65歳以上の人口が約28%となっており、2位のイタリアが約23%ですのでダントツとなっています。高齢化率が高いという言い方をするとネガティブに思われがちですが、ポジティブに捉えると「日本は長寿に成功した国」ともいえます。

男性の平均寿命は約81歳(女性:約87歳)です。最近では健康寿命(自立して生きている期間)という言葉が出てきていますが、これが72歳(女性:75歳)ですので男性の場合は8年(女性:12年)も寝たきり状態なのです。ですので、私は81歳まで健康でいなければ日本ヘルスケア協会が信用されないと言うことです(笑)。

例えば「健康寿命を延ばすために睡眠がどのような働きをしてくれるか」についてエビデンスを大事に取っていくと、日本のためひいてはこれから高齢国家になる先進諸国のためにも役立っていきます。

西野先生と共にエビデンスをとりながら、それに社会背景をセットにし、睡眠と健康寿命を紐付けて「認知症や介護にならない体作り」などが提唱できれば、ブレインスリープさんはさらに伸び代ができると思います。

 

道端社長 当社も認知症と睡眠が非常に関連性が高いと考え、そこに目をつけています。睡眠の質が下がることによって、活性酸素など認知症の原因になる物質が増えるという研究もあります。グリンパティックシステムと言われていますが、深い眠りが脳の老廃物を取り除くという効能が生理学的に見えてきたのが、ここ10年以内だと思います。そこをしっかりと科学し、同じ80歳でも80歳までアクティブな方、70歳でアクティブではなくなる方、そこに睡眠との因果関係があったのかどうか、もう少し深掘りして検証していきたいと思います。

また、当社は睡眠時無呼吸症候群にも注目しています。睡眠時無呼吸症候群は病気の名前自体は知られているのですが、実際にどのような病気なのかということはあまり知られていないように思います。睡眠時無呼吸症候群の方は睡眠時無呼吸症候群ではない人の8年後の死亡リスクが断然違うことがわかっています。それは無呼吸で亡くなっているというよりも、生活習慣病の発症率が上がっており、特に高血圧、脳卒中を引き起こしているケースが多くあります。「睡眠だけ、生活習慣病だけ」というピンポイントではなく、トータルで見られるような仕組みや意識が定着していくと、健康寿命延伸に大きな影響が出てくると考えられます。

 

今西会長 睡眠によって健康寿命が伸びると言うエビデンスが仮に取れたらヘルスケア業界にとっても多大なインパクトを残すことになるでしょう。今日はありがとうございました。

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