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トランプ大統領も治療中に使用していた感染第2波への警戒高まる
10月の終わりにフランスで1日5万人、イタリアで2万人を超え、新型コロナ感染者数が過去最高を記録した。ドイツなどの他の欧州の国々でも増加していて、冬場を迎える欧州では早くも感染第2波への警戒が急速に高まっている。
一方、米国は9月半ばか伸び始めている。10月末の時点では1日の感染者数が8万人を超えた。日本では600人から700人と横ばいだったが、ここに来て不気味に伸び始めている。
ところがパンデミックから9ヶ月も経ったが、未だに新薬もワクチンも開発の歩みは進んでいるようには見えない。こうしたなか米国や日本などで再評価され承認された期待の治療薬「レムデシビル」の効果が世界保健機関(WHO)の行った大規模試験で否定された。これはちょっと衝撃だった。
ワクチンは世界の開発競争が激化して、中国やロシアではすでに投与が始まっているとの噂を耳にする。さらに英国で開発されているワクチンが年明けにも投与が始まるという報道もある。しかしWHOの専門家は通常開発が始まってから投与が可能となるまでは1年8か月かかるという。
通常、医薬品の試験は3段階で行われるが、この間を端折れば早く出来る。しかし肝心の効果と安全性が怪しくなる。しかも時間が経って開発を始めた時の遺伝子が変異してしまうと、効かないことさえある。
サプリや食事が注目
こうなると予防対策が重要になってくる。マスクと手洗い、そして3密を避けることで効果があることは世界的に認識されるようになった。さらにこれに加えてサプリメントや食事による予防が注目されている。
例えばアメリカでは春から消費者の予防ニーズが高まっていた。このためサプリメントは空前の売り上げを記録したという。専門誌『ニュートリションビジネス(MBJ)』の記事では、1月~3月までの第一四半期にサプリメント企業は記録的な売り上げを見せたという。当初8.5%とみられていたこの期の市場の伸び率は、25%以上を記録したことを明らかにしている。
これをけん引したのは免疫系のサプリメントだった。4月にはアマゾンのサプリメントの頁に並ぶビタミンC、亜鉛、エルダーベリーなどの免疫系の商品が売り上げの上を位独占した。そのまなかで特に評価が高かいのがビタミンDだ。
サプリメントショップの棚に並ぶビタミンD
このビタミンDが新型コロナで注目される理由はエビデンスにある。ただし新型コロナウイルスの感染症Covid 19に効く医薬品やワクチンと同じで、サプリメントが予防に効くという研究データはまだない。ただし効く可能性のある研究は決して少なくない。その一つがビタミンDだ。その理由は免疫と上気道感染症への研究があることだ。
ファウチ所長もビタミンD
トランプ大統領が新型コロナに感染したニュースは世界を驚かせた。その後、症状は改善したが、この治療に当たって薬と一緒にビタミンDが使われたことがホワイトハウスの報道官から発表されて話題となっている。
ホワイトハウスの報道官の文章
これによると、治療用の医薬品以外に大統領はビタミンDやメラトニンなどコロナに効く可能性があるとされるサプリメントを飲んでいるという。
一方、トランプ政権でコロナ対策を主導している国立アレルギー・感染症研究所(NIAID)の所長アンソニー・ファウチ博士もCNNのインタビューで答えている。ビタミンCは一定の感染症について良いことは分かっているし、ビタミンDは早急に臨床試験で効果を明らかにすべきだと。
また9月のインタビューで子供たちの免疫を高めるためにどうしたら良いかという質問に以下のように答えている。
「2つのビタミンについて考えるべきです。あなたはビタミンDが欠乏していると感染しやすくなります。私が(公式に)ビタミンDを推奨するということではないですが、私はビタミンDを飲んでいます。ビタミンCを飲んでいます。ビタミンCはとてもいい抗酸化サプリメントだからです。人々は1gか2gかそれ以上を摂りますが、それはいいことだと思います。だからビタミンCとビタミンDはOKですが、私はほかのサプリやハーブを飲みません」