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【記者の目⑦】コロナ・マスク販売、ゲンキーと福井県が見出した“正解”

ゲンキーと福井県がタッグを組んで、県民にマスク販売

全国的な緊急事態宣言が出されたが、新型コロナウイルスの歯止めがきかない。

4月19日、福井県がマスク購入券を県民に送付し、それをゲンキー(本社福井県、藤永賢一社長)の店舗(福井県内64店舗)に持参することで、1箱50枚入り2,350円のマスクを2箱まで販売できる体制を取ることを表明した。期間は4月24日予定~5月10 日までとしている。

福井県民に配布されるマスク購入券

 

マスク販売でローカルチェーンだからこその強みが生きる

福井県は、3月末にマスクを100万枚ほど確保して、医療機関や施設にあっせんしており、19日の記者会見では「今回はこれの県民版。入手しにくい状況を打破するための施策であり、県民がマスクを買える状態を作った」を明かした。都道府県単位で県民に配布するのは初めてのこと。

この販売の受け皿になるのはドラッグストアのゲンキーだ。現在ゲンキーは福井県、石川県、岐阜県、愛知県に出店している。過去に同社・藤永賢一社長は「現在出店している県でシェアNo.1にならない限りは、他県に進出しない」と話しており、ドミナント展開に注力してきた背景がある。この店舗展開が、今回の福井県におけるマスク販売の受け皿として大いに役立っていると考えられる。

福井新聞によるとゲンキーは無利益でこのマスクを販売する方針とのこと。ゲンキーは「マスク購入券の配布による集客」という目先だけではなく、これから何年後にも生きていくだろう“地域のために役立つゲンキー”という印象を残すことになる。この連載でも「マスク販売を自治体と連携すべき」と提言してきたが、自治体の負担、店舗の負担、さらには消費者の負担を第一に考えると、大正解の選択だ。

しかし、全国に広く薄く展開している超大手ドラッグストアには難しい対応であり、今回の福井県での出来事は、「どうすればお客さんが来店しやすい店舗網を築くか?どのように買いやすい店舗フォーマットを作るか?」を本気になって取り組み、300坪の小商圏フォーマットをしっかりとした戦略を持って出店してきたゲンキーだからこそ実現できたように思える。

筆者はGenkyGrugstores(ゲンキーの親会社)の決算会見に何度も参加しているが、藤永社長は、とにかく、本当にブレない。どのように小商圏の消費者から支持を得ていくのかを精神や理念だけでなく、細かい数値まで分析し、それを現場に落とし込んできた。その延長上に、今回のマスク販売の受け皿としてのゲンキーがあるような気がしてならない。

常にブレない確固たる経営理念・戦略を持つゲンキーの藤永賢一社長(決算会見にて)

「マスクを開店時には売りません」を対応の主流としている数多のドラッグストア。だが、もうそういうレベルの話ではない。この福井県とゲンキーの取り組みがトリガーとなり、全国各地にあるローカルチェーンのドラッグストアが、行政や自治体と連携し、マスク販売に取り組んでいく未来が見えてきた。消費者は、みんな待っている。

 

月刊H&Bリテイル編集部・佐藤健太

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