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【記者の目③】コロナによる「パニック購買」が食品に波及

「お母さん!納豆全部ないよ!」「豆腐が最後の1個だ!」

3月26日夕刻、東京都内スーパーマーケットにはそんな声が飛び交っていた。目算で通常の2倍以上の来店客が早足で店内を練り歩く。売り場を巡回すると生鮮3品(青果、鮮魚、精肉)は8~9割が品切れ、卵や豆腐、納豆などは全て売り切れ。来店客は残された少量の生鮮3品を我先にと買い物かごに放りこんでいた。明らかなる異常事態、まさに“パニック購買”だ。

免疫力を高める認知が高い納豆が完全に売り切れる(都内スーパー)

東京オリンピックの延期がトリガーとなり、東京都における“新型コロナウイルス感染の現状”の皮が剥がれてきた。25日20時に小池百合子都知事が緊急記者会見を開催し、「オーバーシュート(爆発感染)の重大局面」「ロックダウン(東京封鎖)の可能性も」と発言し、外出自粛を強く要請した。

これが直近数カ月“コロナストレス”で疲弊する東京都民の不安感を逆撫でし、自粛を週末に消費予定の食材を確保しようとスーパーマーケットに駆け込んだという様相だ。東京都では3月26日時点で259人が感染しており、このうち41人が25日、47人が26日に感染が判明した。日ごとに感染者が増えていることも不安感を駆り立てる要素にもなっている。

 

浮き彫りに駆る課題「購買行動のコントロール」

当たり前のようにドラッグストアも混雑していた。マスクやティッシュペーパー、消毒液などは当然のように品切れているが、26日の来店客の狙いはそこではなかった。レトルト食品、レンジアップのパックライス、缶詰、乾燥パスタ、カップ麺、ウインナーソーセージなどの加工食品、冷凍食品全般を購入するために来店していたのだ。筆者が来店した18時半では、それらの8割以上が品切れており、その売り場だけポッカリとほぼ何も陳列されていない状況。もちろんレジには長蛇の列がなされていた。

レトルトやパスタ、パックライスなど線を引いたようにポッカリと売り切れる

生活者の脳裏には、マスクや消毒液、紙製品が入手困難となったように、近々食品も手に入らなくなってしまうという予想が巡っているのだろう。食品は、医薬品や衛生材料、紙製品と違い、極めて短いサイクルで消費されていることから、もし一時的に一部のカテゴリーが入手困難となっても、それに代替する製品が多岐にわたっているため食品全般の不安定供給が長期にわたることは考えにくい。

しかし、こうした事態を招いた一因として、ドラッグストアが紙製品のデマをデマとせず、「ティッシュが買えなかった」という経験を消費者に与えてしまったことが挙げられる。「緊急事態、いかに生活者の購買動向をコントロールしていくのか?」。今回の新型コロナウイルスの感染拡大は、平常時には見えにくい流通業の課題を浮き彫りにしたと言える。

 

「月刊H&Bリテイル」編集部・佐藤

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