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【経営トップの視点・号外! 】摩耶堂製薬・綾井博之社長インタビュー

コロナ禍、行動変容で「腎仙散」が好調に推移

このコロナ禍、インバウンド需要の激減と季節要因が重なり、OTC医薬品市場がシュリンクする一方で、「腎仙散」や「雲仙錠」など和漢薬をメインに展開する摩耶堂製薬は概ね好調な業績を残しているという。今回、同社・綾井博之社長に取材を依頼し、この数ヶ月間で経営環境にどのような変化があったのか聞いた。

(取材・記事=佐藤健太)

 

 

−−コロナの影響で、メーカーは小売業との商談や打ち合わせの機会が激減したと聞いています。摩耶堂製薬における社員の働き方にどのような変化がありましたか?

綾井社長 新型コロナウイルスが流行して以降は、新たな企画のご提案に限ってはオンライン会議などを活用して業務をしてきましたが、これまでのような、小売り企業さまへの定期的な商談や表敬訪問的なものが一切なくなりました。

流行以前は、日常的に小売り企業のご担当者さまとお会いすることができましたが、感染リスクを低減させなければならないコロナ禍では、そういうわけはいきませんね。

2月あたりから「これからは商談が難しくなるため、“提案の質”が問われる環境になる」と予想していましたが、案の定、それが的中することになりました。

特に家庭薬を展開しているメーカーは、小売り企業さまとの関係は非常に古く、これまでの実績に頼って仕事をする傾向にありましたが、コロナ禍では、それが通用しなくなっています。今後もこの傾向は変わらないと推測しており、営業担当者の企画提案力が、企業を運営していく上でさらに大切になってくるでしょう。

 

−−コロナ禍、摩耶堂製薬では実際にどのような取り組みがありましたか。

 

綾井社長 当社も営業のトップが中心となり、コロナ感染対策によって顕在化してきたニーズに、どのように対応すべきか対策を練りました。そこで“7つの提案”をまとめ、小売業の皆様にメールで配信させていただきました。

その1つが“在宅ワーク”への対応です。腰痛や肩こりに悩むビジネスパーソンが増加しており、これを当社の「雲仙錠」で解決しようという提案です。あるドラッグストアさまにご提案するととても関心を持っていただき、実際に店頭での動きも良いので、「雲仙錠」はコロナ禍におけるニーズに合致する製品であると認識しました。

新型コロナウイルスの影響により、今まで潜在化していたニーズが顕在化されました。そのニーズにしっかりと対応していくことが社会貢献の1つであり、その延長上に売り上げや利益がついてくるということを、きちんと理解していかなければいけません。

 

−−コロナ禍で、摩耶堂製薬の製品にはどのような動きがありましたか。

 

綾井社長 コロナ禍の影響で2〜6月のOTC医薬品市場はシュリンクしていると聞いていますが、当社の業績は平均して概ね好調でした。

その中でも、膀胱炎やむくみに対応する「腎仙散」が特に伸長しました。コロナ禍では「病院に行きたくても、感染が不安だから行けない」という悩みを持つお客さまが多くいたからです。

膀胱炎になってもOTC医薬品で対処している方々は少数派でしたが、コロナ禍で行動変容が起こり「腎仙散」を購入しています。これをきっかけに「腎仙散」の効果を実感していただければ、膀胱炎においては、公的医療費ではなく、私費によるセルフメディケーションの促進になるでしょう。

 

−−貴社の営業担当者は、新型コロナウイルスによる行動自粛をどのように捉えておりましたか。

 

綾井社長 当社にはベテランの営業マンが多くいます。ですから、オンライン会議などITを用いることに対し、これまでは食わず嫌いになっていた部分があります。しかし、「今週1件はオンライン商談にエントリーすること」などノルマを作れば、私も含め不慣れな世代でも、意外とスムーズに対応でき、特段難しいことではないと分かります。つまり今回のコロナ禍は、ベテラン世代の働き方改革に直結したと言えます。

社内での仕事についても、これまで会社や営業所で行っていましたが、社員の感染を予防するために在宅ワークで対応させていました。これが結果的に通勤時間がなくなるということで、業務の効率化にもつながったと思います。

当社のように少数の営業体制では、これまで遠方に出張すると外勤と内勤のバランスが崩れてしまい、営業部員の負担増となっていました。しかし、ITを活用することで「いつでも、誰とでも仕事の話ができる」という環境になり、感染リスクを下げたいという社会的ニーズと営業効率化は非常に親和性が高いものだと感じています。

 

−−新型コロナウイルスはグローバルで社会に傷痕を作りましたが、ポジティブに捉えるならば、働き方の見直しになっていますね。また、コロナ禍ではある漢方処方が注目されるなど、漢方薬や和漢薬への関心が高まっているように感じます。その点はいかがでしょうか。

 

綾井社長 中国では新型コロナウイルスの療法として漢方薬が使われたという情報は入ってきていますが、当社の場合、それに便乗するような取り組みは実施しませんでした。

まだまだ「漢方薬・和漢薬だから」という実感まではいっていないのですが、消費者がウイルスへの免疫力や抵抗力に対する意識は高まっていると感じます。病気になり、症状を抑えるために医薬品を使うだけではなく、免疫力を高めることで、そもそも病気になりにくい体を作っていこうというヘルスケア意識は非常に高まったと感じます。長い目で見ると、「人間本来の力を引き出す」という面で、和漢薬に対する関心も高まってくると思います。

薬機法というルールはありますが、単に「この和漢薬は、この疾患に効きます」などの製品アピールだけではなく、和漢薬を生活に取り入れるメリットや可能性を啓発していく重要性は増してくるでしょう。

 

−−貴重なお話をありがとうございました。

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