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【海外情報】欧米小売業のコロナ対策

自社サプライチェーンの断絶が深刻な問題

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大は、製造業・小売業に大きな打撃を与えている。各国政府は感染拡大防止策として入国制限や外出規制、業務停止を展開し、水際作戦を講じた。

その結果、企業活動は大幅に制限され、サプリメント業界も大幅な打撃を被った。製造業にとってとりわけ深刻な問題は、自社のサプライチェーンの断絶で、末端消費者にサービスが行き届かないリスクである。

欧米企業はサプライチェーンの多くを担っている中国がコロナで業務停止に追い込まれ、中国の製造拠点だけに頼っていては、事業が成り立たない事を認識、IoT技術を活用したサプライチェーンの多様化に踏み込んだ。

更に、1社のリスクヘッジの為に、原料業界・競合であっても同業他社との提携を模索し、サプライチェーンのグローバル化を実現。サプライチェーンの多様化により広大なネットワークをベースに、業界が一つになって、お互い補完し合いながら市場コントロールできる仕組みを構築した。コロナ環境下、競合でなく最適化が本質と見据えた欧米のクールな事業戦略は見事である。

 

IoTで進化するマーケティング業界

サプライチェーンの進化と共に、IoT活用により改善されたのはマーケティング業界である。コロナ感染下、製薬企業や医療機器メーカーはどうあるべきか? 米国コンサルタントが明確な分析を示している。

第一に、対人業務からリモートへ。サプリメント業界も含め、ヘルスサイエンス業界はIoT技術を駆使して医療機関との連携をスムーズに改善すべきで、更に、医療機関で苦痛を強いられている患者の為に、個人情報遵守の上でのリアルワールドデータ(レセプト・電子カルテ・診療情報などの医療行為総括データー等)やソーシャルデータの活用・情報の蓄積が必須と報告している。

リモートにより、医療情報の提供(特にエビデンスベースの科学的情報)は、IoTにより訪問を伴わないMR活動を加速、 新薬等の安全性情報・FDAのワーニングレター等リアルタイムで医療機関に提供できる。

更に、生産性向上も期待でき、IoT分析によるデジタル化が現実化する事により、個人のスキル・ノウハウからグローバルなスキルになり、より分析された事業戦略が誕生する。今後ヘルスサイエンス業界はIoTを駆使した根本的な改善が期待できる。

第二に欧米企業は、コロナ対策の新たな対策として、サプリメント業界は、製造業を新たな視点で捉えリスクマネージメントとして、デジタルファブリケーションの活用(IoT)を開始、時空を超えた戦略で功績の巻き返しを狙った。

各企業はIoTの技術を活用しリスクヘッジを確立、ノウハウの分散化を加速する事により、今まで補完的な位置づけのオンライン販売を大幅に拡大、オンラインに消極的であった小売業をも巻き込みデジタルシフトを積極的に採用した。結果、大きな業績を上げている。

 

コロナ第1波、米国サプリ市場・小売業に打撃

中でもコロナ感染1波が襲った本年5月、米国の健康食品市場に異変が起こった。コロナ感染拡散が脅かす消費の冷え込みは深刻で、大手スーパー等の店舗閉鎖が多発した。最大のニュースは米国最大手のサプリメントブランドの1つであるGNCホールディングスの閉鎖で米国本国だけでなく資本提携を有する各国店舗にもコロナ損害が波及、世界のあちこちで臨時閉鎖や営業時間の短縮を余儀なくされた(最近の情報では中国の投資会社がGNCの損失を補填、事業再開を狙っているらしい)。

大手スーパーの閉鎖は深刻で、各国の保健局はコロナ感染に起因する生活習慣病予防対策を真剣に受け止め、サプリメントや栄養補助食品の需要・消費を促した。その施策として当局は、店舗購買に変わりイン・アウトバウンドビジネスの拡大を奨励、越境EC・TV shop・通販事業等の新しいマーケティング戦略を促進した。結果、米国を中心に発達したインターネットビジネスが世界に波及、今やオンラインビジナスなしの事業は成り立たなくなってきた。

 

コロナ感染対策で増加する肥満

とは言え、オンラインの歪も散見している。英国当局はコロナ感染対策で外出自粛による肥満増加状況に苦慮。英国政府系の統計調査機関によると、イングランド地区で30以上のBMI「肥満」が、このコロナ感染自粛期間で倍増。

更にBMI40以上の「病的肥満」は今まで国民全体の2.9%であったのが、今や(7月現在)コロナ重症患者の7.9%にも及んでいる。この様な健康被害による医療費増大の歪は深刻で、当局は糖分・脂肪などの成分を過剰に含有した食品の広告や販売促進策への規制に乗り出した。

近く必要な法案を議会に提出予定らしい。具体的には、オンラインで糖質・脂質・塩分を多く含む食品について「一つ買ったらもう一つが無料」などの販売促進策に対し規制を設けた。更に午後9時以降のこの様なインターネット広告等の禁止規制も発表、過剰な肥満成分摂取の低減を促している。また、英国当局は各大都市等の大手チェーンやテイクアウト店舗(主にファストフード・菓子・ベーカリー・スイーツなど)には、成分カロリー表示の義務化を課した。

余談ではあるが、英紙エクスプレスの記事によると、現首相ジョンソン氏は自らコロナ感染時、「痩せたいと長年思いつつ苦労してきた。私自身の感染を経て、肥満でないことの重要性を理解した」と肥満対策の必要性を貴社に暴露したとか。この時期、英国の肥満は社会問題に派生している。

このように、コロナ感染下、欧米ではヘルスサイエンス業界にIoTによる変革を呼びかけている。コロナ禍をマイナスに捉えず「逆光からの巻き返し」として、過度な逆境であっても社会に適合できる施策を構築すれば、それがバネになり業界を明るい方向へ導くことができる。コロナ感染の収束を願いつつ、我が国のヘルスサイエンス業界も医療崩壊等社会的課題に立向い、新たな戦略を構築されることを期待する。

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